プロジェクトのゴールが「導入」になってしまう理由

システムプロジェクトのゴールを聞くと、
「無事に導入すること」と答えられる場面をよく見かけます。

もちろん、導入は大切です。
しかし本来、導入はゴールではなく手段のはずです。
それでも多くのプロジェクトで、
いつの間にか「導入すること自体」が目的になってしまいます。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。


導入は“目に見える成果”だから

導入は、分かりやすい成果です。

  • システムがリリースされた
  • 画面が使えるようになった
  • スケジュールどおりに完了した

これらは誰の目にも見え、説明もしやすい。
一方で、

  • 業務がどう変わるのか
  • 何が改善されるのか
  • どんな価値を生むのか

といった点は、
導入前の段階ではまだ形がありません。

結果として、
測りやすい「導入」だけがゴールとして残りやすくなるのです。


「変化」を定義するのは難しい

業務の変化や価値は、
導入よりもはるかに定義が難しいものです。

  • 今の業務のどこに課題があるのか
  • 何が変われば、良くなったと言えるのか
  • 誰にとっての価値なのか

これらを整理しないまま進むと、
「とりあえず導入する」という判断になりがちです。

導入は進んでいるのに、
「結局、何が良くなったのか分からない」
という声が出てくるのは、このためです。


プロジェクトの初期に起きていること

多くのプロジェクトでは、
ベンダー選定や契約をきっかけに動き始めます。

すると、要件定義・設計・開発といった工程が中心となり、
「どんな業務にしたいのか」という議論が
後回しになりやすくなります。

本来は、
業務や価値を先に描き、そのためにシステムを使うはずなのに、
順序が逆になってしまう。

その結果、プロジェクトのゴールが「導入」になってしまいます。


ビジネスアナリストが見る視点

ビジネスアナリストは、
システムの前に、業務と目的を見る立場にいます。

  • このプロジェクトで、何を変えたいのか
  • 導入後、どんな状態になっていれば成功なのか
  • 業務・組織・人に、どんな影響があるのか

こうした点を言葉にし、関係者の認識を揃えていくことで、
ゴールを「導入」から「変化」へと引き戻します。

導入は、その変化を実現するための一つの手段です。


おわりに

プロジェクトの途中で立ち止まったとき、
「私たちは、何のためにこれを導入しているのか」
と問い直すだけで、見える景色が変わることがあります。

導入を成功させることと、
プロジェクトを成功させることは、必ずしも同じではありません。

当社では、プロジェクトのゴールが「導入」で終わらないよう、
業務・目的・価値を整理するところから伴走支援を行っています。

「導入はできたが、成果が見えにくい」
そんな状態に心当たりがあれば、
一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。