【BAスタンス】「何を作るか」の前に、私たちが問い直すべきこと

プロジェクトの現場で、お客様から「新しい機能を追加したい」「このダッシュボードが見たい」という具体的なリクエストをいただく。

一見、要件が明確でスムーズに進みそうな場面ですが、実はここに、後の大きなズレに繋がる「小さな違和感」が隠れていることがあります。

言われた通りに作ることは、一見「誠実」に見えます。しかし、ビジネスアナリスト(BA)としての誠実さは、その一歩手前にあるのではないでしょうか。


■「要望」の裏側にある「本当の困りごと」を探る

例えば「ダッシュボードが欲しい」という声。
その裏には「今の報告作業に毎週3時間かかっている」という苦労や、「判断材料がなくて、会議がいつも空転している」という焦りがあるかもしれません。

私たちは、表面的な「Want(欲しいもの)」をすぐに形にするのではなく、一度立ち止まって問いかけます。

  • 「その数字が見えたとき、誰のどんな行動が変わるのでしょうか?」
  • 「今のプロセスで、一番『痛い』と感じているのはどこですか?」

現場の皆さんが言葉にできていない「ニーズ(解決すべき課題)」に光を当てること。この深掘りこそが、プロジェクトが「作ったけれど使われない」という悲劇を避けるための、最も大切なステップです。


■ 図解は合意形成のための「共通言語」

どれだけ言葉を尽くしても、テキストだけの資料では、人によって解釈が分かれてしまいます。

「そういう意味だと思わなかった」 「このケースが考慮漏れしている」

こうした手戻りを防ぐために、私たちは積極的に「可視化(モデリング)」を取り入れます。ビジネスプロセスの流れを図にし、関係者全員で「同じ絵」を囲む。

図にすることで初めて、「あ、ここは実はこうなっているんです」という現場の真実が引き出されます。可視化は、単なる資料作成ではなく、認識を一つにするための対話の道具なのです。


■「導入」の先にある「価値の実現」に責任を持つ

私たちのゴールは、システムが無事にカットオーバーすることではありません。その先の運用フェーズで、お客様が「仕事が楽になった」「意思決定が早まった」と実感できて初めて成功したと言えます。

変化には抵抗や痛みが伴うこともあります。だからこそ、BAは単なるベンダーではなく、変革の「伴走者」として、現場の違和感に最後まで寄り添い続けたいと考えています。


■まとめ

ビジネスアナリストとは、技術とビジネスの境界線に立ち、混沌とした状況を整理して進むべき道を示す「羅針盤」のような存在でありたい。

「何を導入するか」という手段に振り回されるのではなく、「ビジネスをどう変えるのか」という根本的な問いに向き合い続ける。その積み重ねの先にこそ、組織の真の成長があると信じています。